ドラマ仕立て 山陰古道道中記

第5回 2012年12月4日放送

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再生時間:14分00秒

※番組中の応募や告知、日程等は2012年のもので既に終了しています

首塚大明神へと至る山陰古道の坂路
首塚大明神へと至る山陰古道の坂路

京都と亀岡をつなぐ老ノ坂峠の山陰古道。
1071年の創建と伝えられる篠村八幡宮は、
足利尊氏が鎌倉幕府討伐の旗揚げをした場所であり、
亀岡ゆかりの戦国武将、明智光秀もまた兵を集め、
ここに必勝祈願をして、古道を本能寺へと向かいました。
その道中には有名な酒呑童子の首塚もあります。
この首塚をめざし、古道を歩く
二人の若者の前に現れた者は……?
今回は趣向を変えて、ドラマ仕立てでお送りします。

オープニング:出会いの場

——時は現代、京の都と丹波をつなぐ老ノ坂峠の山陰道も、今ではすっかり整備され、人々は自動車や電車に乗り、何の苦もなく山道を往来できるようになった。しかし、かつて人々が使った道は完全に姿を消したわけではない。歴史の面影をところどころに残し、今もひっそりと住民に親しまれておる。そんな道の先にある、かの悪名高き酒呑童子を祀った首塚大明神を目指し、ひた歩く若者が二人おった。

古道から眺める山里の風景
古道から眺める山里の風景

首塚大明神で毎年4月に行われる例祭のようす 切り絵:達富弘之
首塚大明神で毎年4月に
行われる例祭のようす
切り絵:達富弘之

若者B:(足音、鈴の音)着いた〜っ! ここが篠村八幡宮か。
若者A:そうです、ここ篠村八幡宮は足利尊氏が鎌倉幕府討伐の旗揚げをした場所だと言われています。また、明智光秀が本能寺の変の時、ここに立ち寄って必勝祈願をしたという話もありますね。
若者B:へぇ〜、君は何でも知ってるなァ。
若者A:そうでもありませんよ、これから行く山陰古道については知らないことだらけですから。とにかく酒呑童子の首塚目ざして、出発!
酒呑童子:わしの寝床を踏み荒らそうとする命知らずはどこのどいつじゃ!
若者B:うわっ!
若者A:だ、誰ですかあなたは!
酒呑童子:わしは天下に名高き酒呑童子。かつては大江山を根城にし、京の都でしたい放題、暴れまくっておった。しかし今では、源頼光ら四天王に討ち取られ、この先の首塚大明神で眠っておる。
若者B:その酒呑童子様が、なんで僕らの前に?
酒呑童子:うーん。わしは今心を改めた。かつての罪を悔やみ、首塚に訪れた者の首から上の病を治しておる。しかし最近の来訪者のマナーは悪くてならん。ゴミは捨てるは、大声でしゃべるは、揚げ句の果てには塚を荒らす。ここは一度、わしが直々にお前らを見張りながら、わしが首塚まで案内してくれよう。ついでに道中の見どころも紹介してやる。感謝せい。
若者A・B:ええ〜っ!!

エンディング:別れの場

収録風景。酒呑童子役の達富さん(手前)と若者役の河合(左)と高橋さん
収録風景
酒呑童子役の達富さん(手前)と
若者役の河合(左)と高橋さん

酒呑童子:とうとう着いた。ここがわしの首塚大明神じゃ。
若者B:なんか怖そうな雰囲気あるなぁ。
若者A:社の裏に塚がありますね。ここに酒呑童子さんが眠っているんですか。
酒呑童子:いかにも。わしは鬼退治のやつらが持ってきた酒に酔っているあいだに、仲間の鬼ともどもまんまと打ち取られてしもうた。源頼光がわしの首を持って帰る途中、わしの首はここで持ち上がらなくなった。そこで頼光はやむを得ずここに首塚をつくったちゅうわけや。おかげでさらし首は免れた。それにしても今日は久しぶりによう喋ったわ。おかげで喉が渇いてしょうがない。
若者A:ああ、ちょうどよかった! 今日はあなたの首塚にお供えするつもりで、亀岡の地酒を持って来たんですよ。まさか直接渡せるとは思いませんでした。どうぞ、これで喉を潤してください。
酒呑童子:なんと「大槻並」! 嬉しい申し出か……。しかしわしは酒に酔うて寝首をかかれた経験から、今は禁酒中でな……。まぁ、仲間の鬼にでも振る舞うとするか。その酒、社に供えといてくれや。そやけど、空きビンやゴミは捨てずにもって帰れよ。
若者A:はーい。(酒呑童子が消える音)
若者B:あらら、帰ってもうたねぇ。
若者A:酒飲みで有名な鬼が禁酒なんて、おかしな話ですね。でも今日は酒呑童子さんが案内してくれたおかげで、山陰古道の散歩が思わぬ楽しいものになりました。
若者B:そやなぁ。酒呑童子さん、ありがとう。

——こうして再び首塚に帰っていった酒呑童子。今日も首塚の中から参拝客を見守り、首から上の病気を治してまわっているそうな。これにて「山陰古道道中記」、一件落着〜っ。

出演

  • パーソナリティー:佐藤遥佳
  • ナレーター:曽我裕貴
  • (配役)若者A 河合 厳 BLEU」オーナー)
  • (配役)若者B 高橋昭人 厳
  • (配役)酒呑童子 達富弘之

制作スタッフ

  • 企画・ディレクター:田中孝明
  • 編集:上田久人、福本愛子
  • 取材協力:亀岡市東竪町自治会・文化委員会のみなさん

リスナーからのメッセージ

亀岡市/てるてるさん

新しい試みで、たいへん新鮮な印象でした。面白くて、飽きませんでした。歴史小話と環境問題が兼ねあわせてあって、脚本を上手につくられているなぁと思いました。

亀岡市/こももさん

いつもの道も、明智光秀が通ったと思うだけで、まるで見方が変わってきます。首塚さんには幼少期にお参りに行きましたが、こういう話を聞くと、昔の人はすごかったのだと感心し、この地を誇りに思います。

番組制作スタッフからのメッセージ

番組を企画した4回生/田中孝明

今回は一人で企画を進めることになり、放送局との両立が難しかったですが、市民スタッフにもずいぶん助けていただきました。収録後には、若者Bを演じてくれた高橋さんと、実際に山陰古道を歩いてみました。

酒呑童子役の市民スタッフ/達富弘之さん

これまで500回ほど切り絵を通して町の話題を紹介してきましたが、それでも1パーセントに満たないほど奥が深い。番組を通して、地域の取り組みを掘り下げて紹介することは、私の使命のように思っています。