ドラマ 亀岡の開拓神話

第5回 2014年3月30日放送

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再生時間:14分03秒

※番組中の応募や告知、日程等は2014年のもので既に終了しています

桑田神社から望む保津川。大国主命によって湖の水がかき出されたと伝えられる
桑田神社から望む保津川。大国主命によって湖の水がかき出されたと伝えられる

開拓神話の収録風景。ナレーターの宇古さん(中)と鍬山神役の達富さん(右)
開拓神話の収録風景。
ナレーターの宇古さん(中)と
鍬山神役の達富さん(右)

丹波は昔、豊かな水をたたえた湖の国でした。
そこにやってきた大国主命(おおくにぬしのみこと)は、鍬山(くわやま)神、請田(うけた)神、持籠(もっこ)神の三人の神様を集め、湖水をかき出し保津渓谷に流し、亀岡の国づくりを命じました。
先の二神はそれぞれ鍬山神社、請田神社として祀られています。
しかし、いくら探しても持籠神社だけがありません。
それはなぜなのか。鍬山神社、請田神社、そして桑田神社など、亀岡中のフィールドワークを通じて、この謎に迫ります。

大国主命、三神と亀岡を拓く

歴史好き学生役をつとめた米山(桑田神社前にて)
歴史好き学生役をつとめた米山
(桑田神社前にて)

友人:卒業研究のテーマ、どうしようかな。弓恵ちゃんは何かやりたいことあるの?
学生:この大学に入学したときから、ずっと気になっている神話があるんだけどね。奈未ちゃんは亀岡市にまつわる「開拓神話」って知ってる?
ナレーター:これは丹波の国が、満々と水をたたえた湖だった頃の話。
大国主命:出雲のような国があちこちにできたら、食べ物をめぐる人々の争いもなくなるのになぁ。
ナレーター:大国主命の夢は、平和で豊かな土地をたくさんつくることでした。そしてあるとき丹波の国にやって来たのです。大国主命は、湖の真ん中あたりに浮かんだ「筏(いかだ)の森山」という島から四方を眺めながら考えました。
大国主命:どうにかこの湖水を流し出して、穀物などのつくれる土地に変える方法はないだろうか。そうだ、この地方の神様に相談することにしよう。
ナレーター:そうして鍬山神、請田神、持籠神の三人の神様が集められました。
大国主命:よくぞ来てくれた。この湖水を排出するためには、どうすればよいのだろうか。
鍬山神:そうですね、山々を切り開き、湖水を保津の谷へ流すほかないでしょう。
大国主命:それは名案である。そうと決まれば早速開削にとりかかることにしよう。
鍬山神:では私は鍬を持ってお手伝いをいたしましょう。
持籠神:ならば私は持籠を使って土砂運びをいたしましょう。
請田神:私は工事にかかるすべての費用を請け負うことにいたしましょう。
ナレーター:この三人の神様は、今は鍬山神社、請田神社、持籠神社の神様として大切にされています。
友人:へぇ?、亀岡にこんな伝説があったなんて知らなかったよ。この神社ってほんとうにあるの?
学生:持籠神社だけはどこを探しても見当たらないの。どうしてこの神社だけ実在しないのか、奈未ちゃん、気にならない?じゃあ私が持籠神社、見つけてくるから!

いつか必ず、持籠神社を見つけたい!

取材に応じていただいた鍬山神社宮司、桑田神社宮司、請田神社宮司(左から)
取材に応じていただいた鍬山神社宮司、
桑田神社宮司、請田神社宮司(左から)

学生:(砂利を歩く音)亀岡市上矢田町に鎮座する鍬山神社にやって来ました。私が聞いた伝説では、請田神、鍬山神のほかに持籠神が登場するんですが、その神様はご存じですか。
天岡宮司:存じかねます……。(ジングル)
学生:ここが桑田神社の浅田宮司のお家か。(玄関を開ける音)すみません。桑田神社の由緒についてお聞きしたいんですが。
浅田宮司:創建は今から1,200年前の平安初期ですね。祭神は通称弁天さんといわれております、市杵島姫命(いちきしまひめのみこと) 。幟旗などにナマズが入っておりますが、このあたりは昔、海であったか沼であったか、そういう風景でありましたので、そこで神様が溺れ、ナマズが神様を救い上げたと。そういうところから神様の守り神であるというのがナマズになっております。だからこの山本地域ではナマズは一切食べません。
学生:持籠神社は聞いたことありますか?
浅田宮司:今、そういう言葉を聞いたのは、初めてです。
学生:こんにちは、請田神社の西田宮司ですか。持籠神社は亀岡市内に鎮座しているんですか?
西田宮司:ありません。
友人:弓恵ちゃん、どぉ、持籠神社、見つかった?
学生:結局持籠神社を知っている人は見つけられなかったよ。農具としての持籠はほんとうに一般的に浸透していて、この地域でもよく使われていたらしいよ。西田宮司によると、農具を祀る神社のなかでもとくに鍬と鋤をご神体にしている神社が多くて、最近ね、亀岡市にある西山神社の天井から鍬と鋤が見つかったんだって。だから、この西山神社が亀岡の開拓神話に関係しているんじゃないか、って。こんなに興味深いテーマはほかにはない。だから私は卒業研究のテーマを開拓神話に決めたんだ。そしていつか必ず、持籠神社を見つけ出してやるー!

出演

  • 天岡秀雄さん(鍬山神社宮司)
  • 浅田徹さん(桑田神社宮司)
  • 西田利弘さん(請田神社宮司)
  • キャスター:福正奈未
  • (配役)歴史好き学生:米山弓恵
  • (配役)友人:福正奈未
  • (配役)ナレーター:宇古悦子
  • (配役)鍬山神:達富弘之
  • (配役)大国主命:曽我裕貴
  • (配役)請田神:町田康治
  • (配役)持籠神:和田智之

制作スタッフ

  • 企画・ディレクター:米山弓恵
  • 映像・音声収録:近藤晴夫
  • ミキサー:上田久人、福本愛子

リスナーからのメッセージ

東大阪市/正橋敦子さん

ナレーションが神秘的なお声で、神話にマッチしてましたねー。とても良かった。鍬や鋤がご神体の神社があるなんて、なんでもありがたく、神様にしてしまう日本人らしい発想だと思いました。

南丹市/太田広さん

記録の残っていない神社・仏閣は非常に多いですね。どうしてなのか謎です。宮司さん全員が知らないなら、お話のようにもっこ神社ではなく、神社の屋根裏にもっこがあるんじゃあないでしょうか。

番組制作スタッフからのメッセージ

米山弓恵(人間文化学部2回生)

「持籠神社はどこにあるんだろう?」そんな疑問から、私の卒業研究は始まりました。けれど、手がかりは何も見つからず……。そんな時、ラジオ番組の制作に誘われ、「開拓神話」を取り上げれば、何か手がかりが見つかるかもしれない!と、そんな想いでこのテーマを選びました。たくさんの人々に聞いてもらえたこと、自分の伝えたいことが作品としてかたちに残ったこと。この経験は私の一生の宝物です。