美山町――ふるさとの原風景

第4回 2010年11月7日放送

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再生時間:14分01秒

※番組中の応募や告知、日程等は2010年のもので既に終了しています

茅葺き民家の集落がある美山町・北村地区
茅葺き民家の集落がある美山町・北村地区

京都市内から車で1 時間半、美山町は京都府南丹市の北部、福井県との県境にあります。山に囲まれ、清流や滝、夏にはホタルも数多く見られ、特別天然記念物のニホンカモシカも生息する、自然豊かな町です。この美山町・北村地区の、通称「かやぶきの里」には全国でも例のない38 戸もの茅葺き屋根の民家が残っています。そこはまさに日本の「ふるさと」。初めて訪れた人も、なぜかなつかしさを感じてしまうようです。なぜなつかしさを感じるのか? それを探るために現地を訪れ、茅葺き職人さんに茅を切る音を聞かせてもらったり、地元の合唱団のみなさんに、古くから伝わる子守歌を歌っていただきました。

茅葺きの原風景を次の世代にどう受け継ぐか

美山町在住の藍染め作家 新道弘之さん

新道弘之さん(左)を取材する道下智至
新道弘之さん(左)を取材する道下智至

すごいねぇ、屋根が厚いでしょう。それで陽射しを遮るためにね、茅葺き屋根って日本の暑い夏のためにできたんとちゃうかと思うほど、入ったらヒヤッとするでしょう。土間があってね、柱が石の礎石の上に立ってて、下をスースー風が走ってるっていう換気のよさもあるし、「呼吸してる」って言うけれども、50cm以上あるすごい厚い茅の屋根に覆われていることが涼しいひとつの原因やし、それが家を保たせてる。でも逆に、冬に来たら寒いですよ。

平成5年に、この村が「重要伝統的建造物群保存地区(伝建地区)」として国から指定を受けて、この原風景を守っていこうということになって、私たちの村では「かやぶきの里保存会」が立ち上がったんですね。私もずっと役員をやらせてもらってて、いつも問題になるんですけどね、この村50戸あって、実は80歳を超えたおばあさんがおひとりでお住まいの家も何軒かあるんですね。空き家もありますし、小学生がたった2人とかね、若い人がほとんど住んでいないんでね。私たちの村を守っていく、次の世代にどうやってバトンタッチするか、とっても大きい問題ですね。

茅葺きの盛んなイギリスで、美山町のすごさに気づく

美山町在住の茅葺き職人 中野 誠さん

私、この北村っていう茅葺きいっぱいの「伝建地区」で生まれましてね。何か自分でしたいなと模索して、海外もあちこち行ったりして悩んだ時期があって。たまたま訪れたイギリスが茅葺きがすごく盛んで、職人の地位も高くて、そこで自分の中にビビッとスイッチが入って。「あっそういえば、ぼくの村なんて、茅葺きだらけやったやん!」って(笑)。そこでふれあった人たちと話したり、離れたところから美山を見たことによって、「ああ、これはすごいものなんだ、これを誰かが引き継がなかったら!」と、そういうわけで茅葺き職人になりました。茅葺き屋根に使うのは、稲の縄や自然に生えてる竹。このへんでしたらススキ、葦(よし)がいっぱい生える海辺なんかは葦ですわ。無人島の島国なんかで昔はワカメ、海草を屋根に載せてしのいでいました。そういう素材は、次世代にツケを残さないんですよ。

「美山の子守歌」を歌い継ぐ

美山町混声合唱団「エコーみやま」代表 古北龍三さん

混声合唱団「エコーみやま」による「美山の子守歌」の収録
混声合唱団「エコーみやま」による
「美山の子守歌」の収録

「美山の子守歌」というのがあるんです。これは美山町に古くから伝わっている歌で、楽譜にして残さな絶えてしまうというか、いろいろなかたちになってしまうので、楽譜につくって、それを私たちが歌っていこうやないかということで、取り組んできました。

美山の子守歌
ねんねしなされ 今日は二十五日
明日はこの子の誕生日 ヨホホ
誕生日には 小豆の飯炊いて
一生この子がまめなよに ヨホホ
赤いべべ着て 赤いじょじょはいて
連れてまいろか ののさまへ ヨホホ
ねんねころいち ころたけのいち
竹にもたれて ねねなされ ヨホホ
ねたら丹波へ おきたら山へ
お目がさめたら お江戸まで ヨホホ(続く)

出演

  • 新道弘之さん(藍染め作家、ちいさな藍の美術館館長、茅葺きの里保存会役員)
  • 中野誠さん(茅葺き職人、美山茅葺株式会社代表)
  • 古北龍三さん(美山町混声合唱団「エコーみやま」代表)
  • 美山町混声合唱団「エコーみやま」のみなさん
  • パーソナリティ:武田慶美
  • レポーター:道下智至

制作スタッフ

  • ディレクター:道下智至
  • 企画:君塚洋一
  • 映像・音声収録:井上将史
  • ミキサー:上田久人
  • 企画協力:新道弘之さん、岡本裕介(社会学、人間文化学部准教授)