丹波のことば

第7回 2010年12月19日放送

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再生時間:13分59秒

※番組中の応募や告知、日程等は2010年のもので既に終了しています

丸田先生の指導で武田慶美も丹波ことばにトライ
丸田先生の指導で武田慶美も丹波ことばにトライ

方言って本当にあったかいですよね。方言には、人の温かさがにじみ出てくるような気がします。同じ意味の言葉でも、方言を使うことによって、相手に与える印象もずいぶん変わってきますよね。でも最近、丹波にかぎらず、方言がどんどん失われていって若い人たちが理解しにくくなっているように思われます。私たちは、これからの方言をどのように捉えたらいいのでしょうか。そこで今回は、地元である「丹波のことば」に着目し、その特徴はどういうものなのか? どのように使われているのか? 「丹波のことば」の不思議と魅力に迫ってみました。

「ぴりぴり」と「さけ」?

亀岡市民のみなさん(聞き手:武田慶美)

――丹波のことばにはどんなものがあるのでしょうか?  今日はラジオ・スタジオを飛び出して、町の人の会話を聞いてみたいと思います。

町の人A:昨日、ぴりぴり降っとったなぁ。(昨日、小雨が降ってたね。)
町の人B:せやったねえ。(そうだったね。)
町の人A:せやけど、今日は霧が深いさけなぁ。もうほんまに車の運転がしにくいわぁ。(そうだけど、今日は霧が濃いからなぁ。もう本当に車の運転がしにくいなぁ)
町の人B:そうやねぇ、亀岡は霧の都やしね。(そうだね、亀岡は霧の都だもんね。)
――すみませ?ん。ぴりぴりっていうのは、誰か痺れているんですか? 大丈夫ですか?
町の人A:(笑)ぴりぴりゆうんはな、痺れとんのとちごてな、小雨のことなんやで。
――あ、そうなんですか。あともうひとつ。霧がこいさけ? というのが聞こえたのですが、お酒かなんかの話をされてたんですか?
町の人A:んー、お酒の話とちごてな、霧が深いさけの「さけ」は、霧が濃い「から」ということやしな、今日は霧が濃いねぇっていう話をしてたんやで。

美しい丹波のことばを残していきたい

京都学園大学人間文化学部教授 丸田博之先生(聞き手:武田慶美)

収録に臨む丸田博之先生
収録に臨む丸田博之先生

■丹波ことばの特徴

丸田:「丹波ことば」は丹波の国、すなわち京都府中部と兵庫県東部にまたがる地方で話されています。丹波は何と言っても京都のすぐ隣りですから、それほど方言ぽい特徴はないんですね。あえて言えば、ザ行とダ行の混同が挙げられます。たとえば「全然」を「でんでん」、「全部」を「でんぶ」と言ったり、逆に「読書」を「ぞくしょ」ということもあるんですね。これは和歌山にも見られる現象です。

■「うつくしい」は丹波ことば発祥?

――丹波発祥の言葉があると聞いたのですが、それはどんな言葉なんですか?

丸田:それは、「うつくしい」ということばです。もちろん「うつくしい」ということば自体は全国区の日本語です。ただその使い方に丹波独特のものがあって、それが日本全体に広がったようなんですね。
いま、ここに絶世の美人がいるとします。もちろん武田さんでもいいんですが(笑)。そのとき、われわれは「うわあ、きれいな人やなあ」と言いますよね。ところが丹波では「うわあ、うつくしい人やなあ」というのです。「うつくしい」という言葉は、一般的には書き言葉でよく使いますし、改まった場面などでは使うのですが、感嘆するとき、びっくりするときなどは普通は「きれい」を使います。ところが、丹波の人はごく普通に「うつくしい」を使うわけです。つまり、一般では「きれい」よりちょっと格の高い「うつくしい」が、丹波発祥の可能性があるのですね。

――美しいという言葉が丹波から始まっている。なんて、美しい話なんでしょう。

■豊かな日本語のために、美しい方言を残したい

――私たちはこれから、方言をどのように捉えていったらいいのでしょうか?

丸田:難しい質問ですね。でも、ひとつ言えるのは、方言なら何でもかんでも残そうとするのではなく、それこそ、美しい方言を積極的にマスメディアなどがとりあげるべきだと思いますね。そうでないと、日本語のボキャブラリーそのものが、どんどん貧弱になっていきます。この番組づくりに携わっている、マスコミを志望している若い人たちに、それを託したいですね。

出演

  • 丸田博之先生(京都学園大学 人間文化学部 教授)
  • 野浪成介さん、佐藤隆也さん、野浪ゆきさん、野浪冴子さん(亀岡市民のみなさん)
  • パーソナリティ、レポーター:武田慶美

制作スタッフ

  • ディレクター:竹内博士
  • 映像・音声収録:上田直樹
  • ミキサー:上田久人
  • 企画協力:達富弘之、井上耕作、松尾清嗣、高橋昭人