ジョン・レノン――丹波に流れた転機の時間

第6回 2010年12月5日放送

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再生時間:27分46秒

※番組中の応募や告知、日程等は2010年のもので既に終了しています

ジョン・レノンが訪れた湯の花温泉「すみや亀峰庵」茅葺門。丹波の原風景に誘うたたずまいがある
ジョン・レノンが訪れた湯の花温泉「すみや亀峰庵」茅葺門。
丹波の原風景に誘うたたずまいがある

12月8日は、ジョン・レノンの命日。
2010年は生誕70年、没後30年という大きな節目の年でもあり、今は亡きジョン・レノンに、各界から大きな注目が集まりました。
1970年のビートルズ解散後はソロとして活動し、あの「イマジン」をはじめとするたくさんのヒット曲を生み出しました。
1975年に息子のショーンさんが生まれると、音楽活動を一時休止。「ハウスハズバンド」宣言をし、ほとんどの時間を家族と過ごすようになり、1980年の復帰直後、ニューヨークの自宅前でストーカーに銃で殺害されました。

じつはそのレノンが、音楽活動の休止時期に、亀岡の地を訪れていたといいます。ジョン・レノンとオノ・ヨーコの、丹波探訪の真実を探ります。

ジョン・レノンの印象

ジョン・レノンが訪れた「すみや亀峰庵」の女将 山田マサ子さん(聞き手:竹内博士)

ジョン・レノン夫妻を迎えた女将・山田マサ子さん(奥)と当時高校生だった山田智社長
ジョン・レノン夫妻を迎えた
女将・山田マサ子さん(奥)と
当時高校生だった山田智社長

「すみや亀峰庵」に残るジョン・レノンのサイン
「すみや亀峰庵」に残る
ジョン・レノンのサイン

――亀岡の湯の花温泉という温泉街に「すみや亀峰庵」という旅館があり、今から30年以上前に、ジョン・レノンがオノ・ヨーコさんと2人で訪れてるんですね。亀岡では結構有名な話なんですよ。当時はレノンが来た旅館ということでうわさになった。旅館にはその証ともいえる直筆のサインもありました。ジョン・レノンが来られたというのは、ほんとうでしょうか?

山田:はい、1977年ですので、今から32年くらい前でしょうかね。タクシーでね、お越しになりまして。小顔の、こじんまりした、色の白い方やった。眼鏡をかけてられたような気もしますしね。なんか小顔の、背の高い、すらりと細い方。外人さんって結構大きい方も多いんじゃないかなと、今でこそそう思うんですけど、当時はあまりわからないですけどね。

――到着されてからはどのように過ごされたんでしょうか?

山田:はい、温泉にお入りになりましたね。お風呂から上がられて浴衣をね、バスローブ代わりに着られたっていうのがね、エピソードで、そういう記憶がございます。

――直筆のサインがありますけれども、これはどのようにして頼まれたんですか?

山田:ちょうどね、ロビーから入ったところにちょっとカウンターがあって、そこの場所におられて、お願いしたんです。ちょうど食事終わって下りて来られてね、そこでサインをいただいたんですけどね。

失われゆく日本の原風景を丹波に求めて

当時高校生だった「すみや亀峰庵」社長 山田 智さん

私どもにご案内いただいたタクシーの運転手さんがお話しされてたようなんですけれども、旅行にということではなくて、京都近郊の山あいに、住むところなのか別荘なのか、なにかそういう古い民家みたいなものを探しておられたみたいです。そのために、この亀岡とか能勢の方とか、この山あいをずっとタクシーでめぐっていらっしゃったとお伺いしています。ですので、京都の街中にはもうなくなってしまってますけど、日本のちょっと古い原風景というか、生活のスタイルみたいなものを、この丹波の地に探してらっしゃったんじゃないですかね。

ジョン・レノンの「癒し」と「再生」に迫る

武田慶美(パーソナリティ)

奥田英朗著『ウランバーナの森』(講談社文庫)の表紙。フィクションではあるが、ジョン・レノンの日本滞在や当時の心情を考える最良の文献のひとつ
奥田英朗著
『ウランバーナの森』
(講談社文庫)の表紙。
フィクションではあるが、
ジョン・レノンの日本滞在や
当時の心情を考える
最良の文献のひとつ

ジョン・レノンにとって、京都や丹波での滞在はいったいどんな体験だったのでしょうか。
ジョンは、ハウスハズバンド時代の1976~79年に、毎年日本に来ていたそうです。じつは、日本に滞在したこの時期のジョンを主人公に、その謎を解読しようとした小説があるんです。直木賞作家・奥田英朗さんの『ウランバーナの森』という作品です。ジョンは子供のときお父さんとお母さんに捨てられ、叔母さんに育てられたという不幸な生い立ちをもつ人で、そんな生い立ちやトラウマゆえの振る舞いで、過去にいろんな人とのあいだにさまざまなしがらみを残してきたそうです。

両親と別れて、自分が決して得ることのなかった親の愛情を、ショーンさんに余すところなく注ぐことで、まさに自分自身が癒され再生していく。ジョンはそんな時間を、日本滞在をはさむこの時期に過ごしていたようなんですね。

出演

  • 山田マサ子さん(旅館「すみや亀峰庵」女将)
  • 山田 智さん(旅館「すみや亀峰庵」社長)
  • パーソナリティ:武田慶美
  • レポーター:竹内博士
  • 朗読:松尾展利(奥田英朗著『ウランバーナの森』文庫版へのあとがきより、講談社文庫)

制作スタッフ

  • ディレクター:竹内博士
  • 企画:君塚洋一
  • ミキサー:上田久人